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ペプチドのアミノ酸配列決定問題と合成高分子化学

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ペプチド配列決定が崩れない解き方

――N末端・C末端と「切断条件」から、断片情報を組み立てる

ペプチド配列決定問題は、アミノ酸名の暗記量ではなく、断片情報を「正しい場所」に置けるかで決まります。
やることはシンプルで、次の順番を守るだけです。

  1. N末端(左端)とC末端(右端)を確定する
  2. 「どこで切れるか」を化学条件に翻訳する
  3. 断片の長さ(何残基か)を反応条件から絞る
  4. 矛盾がない並びだけを残す(消去法)

目次

1. 最初にやること:N末端・C末端を固定する

配列決定は、いきなり全部を並べません。最初に「端」を固定します。

N末端(N-terminus)

N末端のアミノ酸が不斉炭素を持たない → **グリシン(Gly)**が候補になります。

  • グリシンの一般式(中性形の一例)
    H₂N–CH₂–COOH

グリシンは側鎖が H のため、α炭素が不斉になりません。


C末端(C-terminus)

C末端が酸性アミノ酸である → **グルタミン酸(Glu)**が候補になります。

  • グルタミン酸の一般式(中性形の一例)
    H₂N–CH(CH₂–CH₂–COOH)–COOH

2. 方向を固定する:ペプチド結合は必ず「N → C」

ペプチド結合はアミド結合で、基本骨格は次の形です。

…–C(=O)–NH–…

配列決定問題で崩れる典型は、左右(N末端・C末端)を途中で入れ替えることです。
常に、左がN末端、右がC末端になるように、骨格を固定して考えます。


3. 「切断条件」を日本語から化学条件へ翻訳する

配列決定の核心はここです。問題文に次のような条件が出たら、切断位置を確定します。

例:「塩基性アミノ酸のカルボキシ基側で切断される」

この条件は、次の意味になります。

  • **塩基性アミノ酸(代表:リシン Lys)**の直後
  • つまり、Lys の C側(カルボキシ基側)でペプチド結合が切れる

図にすると、こうなります。

…– Lys –|– 次の残基 –…
        ↑
     ここで切れる(LysのC側)

4. 断片の「出方」から、同じアミノ酸が何個あるかを逆算する

切断で得られた断片情報(生成したペプチド断片やアミノ酸)から、
「その切断点が何回存在するか」を逆算します。

例:切断後に複数の断片が生じる → 切断点が複数ある

  • 切断点が 1つ なら、分かれる断片は基本 2つ
  • 断片が 3つ 以上必要なら、切断点は 2つ以上

つまり、切断対象のアミノ酸(例:Lys)が複数含まれる可能性が高くなります。


5. 断片の長さは「反応が成立する条件」から絞る

呈色反応などの結果は、「何残基くらいの断片か」を絞る材料になります。
ここでは代表例としてビウレット反応を使った考え方を整理します。

ビウレット反応の目安

  • ペプチド結合(–CO–NH–)が複数あるほど反応が出やすい
  • 断片が極端に短い(アミノ酸1〜2個程度)と、反応が弱い/出ない側に寄りやすい

ここで大事なのは、
「反応結果 → 断片が短い/長いを推定 → 全体の分割(何個・何個・何個)を固定」
という使い方です。


6. まとめ:配列を組み立てる“作業手順”

最終的にやる作業は、次の4点です。

手順

  1. N末端 = GlyC末端 = Glu を固定
  2. 切断条件から、**切断点(例:LysのC側)**を固定
  3. 反応結果から、各断片の残基数を固定
  4. 断片どうしを N→C方向でつなぎ、矛盾する並びを落とす

合成繊維を「材料→反応→命名」で整理する

――ナイロン66が一発でわかる

合成繊維は暗記が増えやすい分野ですが、材料と反応の型を押さえると混ざりにくくなります。
代表例として ナイロン66 を整理します。


1. ナイロン66の材料(モノマー)

ナイロン66は、次の2つから作られます。

① アジピン酸(adipic acid)

二価カルボン酸(–COOH が2つ)

  • 構造式(簡略)
    HOOC–(CH₂)₄–COOH

② ヘキサメチレンジアミン(hexamethylenediamine)

二価アミン(–NH₂ が2つ)

  • 構造式(簡略)
    H₂N–(CH₂)₆–NH₂

2. 反応の型:脱水縮合(アミド結合ができる)

カルボン酸とアミンが反応して、**アミド結合(–CO–NH–)**を作りながら水が取れます。
これが繰り返されて高分子になります。

反応式(概念)

–COOH + –NH₂ → –CONH– + H₂O


3. どこが「高分子」になるポイントか(端が残る)

両方の材料が「2官能基(両端に反応点)」を持つため、

  • 左端でも反応できる
  • 右端でも反応できる
  • だから次々につながって 鎖が伸びる

という構造上の必然が生まれます。


4. 「66」の意味:炭素数が6と6

ナイロンの命名で混ざりやすいのは数字ですが、ナイロン66はルールが単純です。

  • アミン側の炭素数 = 6(ヘキサメチレン)
  • 酸側の炭素数 = 6(アジピン酸の主鎖炭素数)

→ だから 66


まとめ:今日の要点(3行)

  • ペプチド配列決定は、端(Gly / Glu)→切断点→断片長→消去法の順に固定する。
  • 切断条件は「どのアミノ酸の、どちら側で切れるか」を図で固定する。
  • ナイロン66は 材料(HOOC–(CH₂)₄–COOH と H₂N–(CH₂)₆–NH₂)→脱水縮合→66の意味で整理する。
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