この記事を読んでわかること
- カルボン酸とエステルの構造と官能基
- 分子式から官能基を推定できる
- エステルの加水分解と生成物を理解
- カルボン酸の酸化還元反応の流れ
- 入試頻出の計算問題を解ける
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導入
要約:カルボン酸とエステルは入試頻出。官能基を見分け、反応を理解することが重要です。
「カルボン酸とエステルはどちらも酸素を含む化合物で区別が難しい…」そんな不安は多くの受験生が抱えます。ですが、官能基の形と反応パターンを整理すれば、入試問題で迷うことはなくなります。本記事では、カルボン酸とエステルの性質・反応・計算演習をまとめます。
化学結合と水素結合の確認
有機化学の理解には、まず結合の種類を押さえることが重要です。化学結合にはイオン結合、共有結合、金属結合、水素結合があります。
特に水素結合は「非共有電子対をもつ原子」が相手であることが条件です。たとえば NH3 は常に非共有電子対をもち、水素結合が可能です。
💡ヒント:水素結合が成立するかどうかを見分けるには、「O、N、F原子に水素が直接結合しているか」を確認するとよいです。
エステルの構造と名称
エステルは「カルボン酸」と「アルコール」が脱水縮合してできる化合物です。
例:酢酸メチル
CH3COOH(酢酸)+ CH3OH(メタノール) → CH3COOCH3(酢酸メチル)+ H2O
構造を理解するうえで、カルボン酸とアルコールそれぞれの示性式を正しく書けることが大切です。
エステルの香り
- 酢酸イソアミル:バナナの香り
- 酢酸ベンジル:ジャスミンの香り
- ギ酸エチル:ラム酒の香り
実際に授業ではエステル試料を嗅いで「化学は生活に直結する」ことを体験しました。
分子式から官能基を推定する
分子式から構造を推定する練習は入試で非常に重要です。
一般式の目安:
- CnH2n+2O → アルコールまたはエーテル
- CnH2nO → アルデヒドまたはケトン
- CnH2nO2 → カルボン酸またはエステル
💡ヒント:同じ分子式でも構造によって性質が全く異なるため、構造異性体を意識して整理することが大切です。
エステルの加水分解(けん化反応)
エステルは酸や塩基の存在下で加水分解され、元のカルボン酸とアルコールに戻ります。
例:酢酸エチルの加水分解
CH3COOC2H5 + H2O → CH3COOH + C2H5OH
この反応を「けん化反応」と呼びます。
カルボン酸の酸化還元の流れ
- 第1級アルコール → アルデヒド → カルボン酸
- 第2級アルコール → ケトン
- 第3級アルコール → 酸化されにくい
演習問題
問1 酢酸メチル CH3COOCH3 を水酸化ナトリウム水溶液と加熱すると、生成物は何か。
→ 酢酸ナトリウム(CH3COONa)とメタノール(CH3OH)が生成する。
問2 分子式 C3H6O2 をもつ化合物のうち、カルボン酸とエステルの構造式を書け。
→ カルボン酸:CH3CH2COOH(プロピオン酸)
エステル:HCOOCH2CH3(ギ酸エチル)
問3 第1級アルコールと第2級アルコールの酸化生成物をそれぞれ答えよ。
→ 第1級アルコール:アルデヒドを経てカルボン酸
第2級アルコール:ケトン
問4 分子式 C4H8O2 をもつ化合物の構造異性体をすべて挙げよ(カルボン酸とエステル)。
→ 酪酸 CH3CH2CH2COOH、イソ酪酸 (CH3)2CHCOOH、酢酸メチル CH3COOCH3、酢酸エチル CH3COOC2H5
まとめ
- 官能基の形を覚えること
- 分子式からの推定を練習すること
- 加水分解や酸化還元など典型的な反応を整理すること
これらを徹底すれば、計算問題や構造決定問題でも迷わず解答できます。
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