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【授業実況】2025/04/23 蒸気圧とエステル・油脂・石けんの性質|入試頻出テーマを徹底整理

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目次
  • 蒸気圧と温度の関係を理解できる
  • 入試頻出の蒸気圧問題の攻略法
  • エステル構造式の導出手順を説明できる
  • 油脂と石けんの基本的性質を理解
  • 計算のつまずきやすい点を回避できる

要約:蒸気圧と有機化学の基礎をつなげて理解する。

「蒸気圧の計算が苦手」「エステルの構造が書けない」──こうした不安は受験生によくあります。本記事では、蒸気圧の典型問題と、エステル・油脂・石けんの性質を整理し、入試で得点につなげるポイントを解説します。


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※本ナレーションはAIによるプロ声優の音声を使用しています。
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蒸気圧の問題は、講師の言葉を借りれば「解けたら受かる問題」に分類されます。つまり、差がつくテーマです。

蒸気圧は温度が下がると小さくなる性質をもちます。水の場合も同じで、蒸気圧が小さくなれば沸点との関係も変わります。

💡今日の学びのヒント

・蒸気圧は「温度」とセットで考える
・分子間力が強いほど蒸気圧は低い
・計算問題では単位(Pa, atm など)の変換に注意

小テストでは「分子間力」や「蒸気圧と温度」の基本が問われました。
例:

  • ファンデルワールス力は最も弱い分子間力
  • 温度が下がると蒸気圧も下がる

これらは「解けなければ落ちる問題」として扱われます。基礎事項を確実にしてから応用問題へ進むことが重要です。


問題では C4H8O2 の分子式からエステル構造を考えました。

図1:C4H8O2のエステル導出(配分と場合分け) C4H8O2 からのエステル導出:前提と手順 前提(COO を必ず含む) ・左=カルボン酸側 右=アルコール側 ・全炭素数 4。うち 1 個はカルボニル炭素 ・アルコール側は炭素≥1/カルボン酸側は0でも可 手順 1) COO を固定する(R¹–COO–R²) 2) 残り「3 個」の炭素を R¹ と R² に配分 3) 条件:R²≥1 を満たす配分のみ採用 炭素配分(残り3個の内訳) R¹(酸側) + R²(アルコール側) = 3 (0,3)・(1,2)・(2,1)・(3,0) ※ (3,0) は R²≥1 を満たさず不可 ケースA:R¹=0, R²=3 H–COO–C3(ギ酸エステル) 例:HCOO–CH2–CH2–CH3 ※ R²=3 は直鎖/分枝の異性あり ケースB:R¹=1, R²=2 CH3–COO–C2(酢酸エステル) 例:CH3COO–CH2–CH3 ※ 分枝なし(C2) ケースC:R¹=2, R²=1 C2H5–COO–CH3(プロピオン酸メチル) 例:CH3–CH2–COO–CH3 ※ 条件 R²≥1 を満たす
図1:C4H8O2のエステル導出(配分と場合分け)

手順は以下の通りです。

  1. COO 基(エステル結合)を必ず含むことを前提にする
  2. 左側にカルボン酸部分、右側にアルコール部分を配置
  3. 炭素数の配分を 0,1,2 など場合分けする

この「場合分け」がパズル的で、有機化学の面白さです。

💡思考のヒント

* アルコール側は炭素 1 個以上が必須
* カルボン酸部分は炭素 0 個でも成り立つ



高校化学が苦手でも「原子からモル計算」まで基礎を整理したい人へ


油脂は「グリセリンと高級脂肪酸のエステル結合」で構成されます。

図1:エステルと油脂の構造模式図 エステルと油脂の構造 エステル:R-COO-R’ 例:CH3COOCH2CH3(酢酸エチル) 油脂:グリセリン+脂肪酸 R-COO-CH2 R-COO-CH R-COO-CH2 → アルカリ加水分解で石けん生成
図1:エステルと油脂の構造(加水分解で石けん生成の理解)


一方、石けんは油脂をアルカリで加水分解することで得られる塩です。

これらの性質を理解することで、脂質の問題や環境問題(生分解性など)への応用も見えてきます。

📘 問題1(蒸気圧)

25 ℃で水の蒸気圧が 3.17 kPa、50 ℃で 12.3 kPa である。温度上昇に伴う蒸気圧変化の理由を説明せよ。

解答
温度が上がると分子の運動エネルギーが大きくなり、液体表面から飛び出す分子が増える。そのため蒸気圧が上昇する。

📘 問題2(エステル構造)

分子式 C4H8O2 の化合物のうち、エステルの構造を 2 種類示せ。

解答例
CH3COOCH2CH3(酢酸エチル)
HCOOCH2CH2CH3(プロピルギ酸エステル)

蒸気圧は「温度と分子間力」で決まる性質です。入試では差がつく分野なので、基本の考え方を確実に押さえましょう。
エステルの構造導出は場合分けの練習が有効です。油脂や石けんの理解につなげれば、有機化学全体の流れが見えてきます。
苦手意識を持ちやすいテーマですが、計算・構造・性質を整理すれば得点源になります。


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📘 理論化学を「しくみ」で学びたい方へ

※この記事のテーマ(蒸気圧とエステル・油脂・石けん)は理論化学の土台の上に成り立っています。
 理論化学の土台は、電子書籍『一問一答 理論化学1|原子の構造、化学結合、物質量と化学反応式』で学べます。化学のしくみをしっかり理解したい方は、ぜひ本書をご覧ください。

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