この記事を読んでわかること
- 第1級アルコールからアルデヒドが生成する流れ
- 銀鏡反応とフェーリング反応の観察ポイント
- 実験器具の安全な使い方を理解
- 入試頻出の酸化反応の出題形式を把握
- 誤りやすい実験操作を回避できる
要約:アルコールを酸化するとアルデヒドが生じ、還元反応で性質を確認できる。
「アルコールとアルデヒドの違いがよく分からない…」そんな疑問を解決するのが今回の授業です。
第1級アルコールを酸化してアルデヒドを得る実験、さらに銀鏡反応・フェーリング反応でその性質を確かめる流れを整理しました。入試問題で必ず問われる部分なので、仕組みと観察のコツを押さえていきましょう。
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アルコールの酸化とアルデヒドの生成
第1級アルコールを酸化すると、まずアルデヒドが生成します。
例:メタノール CH3OH → ホルムアルデヒド HCHO
今回の実験ではメタノールを酸化し、ホルムアルデヒドの生成を確認しました。
アルデヒドは還元性を示し、銀イオンや銅(II)イオンを還元する特徴があります。
💡ヒント:
入試では「第1級アルコール→アルデヒド→カルボン酸」「第2級アルコール→ケトン」という流れを区別する問題が頻出です。
銀鏡反応とフェーリング反応
📘 銀鏡反応
硝酸銀水溶液にアンモニア水を加えた試薬を用います。
アルデヒドを加熱すると、試験管の内壁に銀の鏡が析出しました。
反応式:
HCHO + 2[Ag(NH3)2]+ + 3OH– → HCOO– + 2Ag + 4NH3 + 2H2O
📘 フェーリング反応
フェーリング液(硫酸銅+酒石酸ナトリウム・カリウム)を加熱すると、還元によりCu2Oの赤色沈殿が生じました。
💡よくある誤答:
「ケトンも反応する」と思いがちですが、実際はケトンは反応しません。アルデヒド特有の性質として判別に利用されます。
実験器具の取り扱いと安全対策
授業ではガスバーナーの正しい使い方や、熱い器具を素手で触らないことなど安全面が強調されました。
特に注意すべき点:
- 元栓を開ける前にガスは必ず閉じる
- 火をつけてから器具を近づける
- 金属部分には直接触れない
- 必要に応じて軍手を着用する
演習問題
問題1
エタノールを酸化して生成する化合物を順に示せ。さらに、その反応でフェーリング反応は陽性か陰性かを答えよ。
解答
エタノール(第1級アルコール) → アセトアルデヒド(アルデヒド) → 酢酸(カルボン酸)
判定:アセトアルデヒドは還元性をもつためフェーリング反応は陽性。
問題2
2-プロパノールを酸化した場合、生成物と銀鏡反応の結果を答えよ。
解答
2-プロパノール(第2級アルコール) → アセトン(ケトン)
ケトンは銀鏡反応を示さないため陰性。
問題3
第3級アルコール(例:2-メチル-2-プロパノール)を酸化するとどうなるか。フェーリング反応は陽性か陰性かを答えよ。
解答
第3級アルコールは酸化されにくいため、通常条件では酸化反応が進行しない。アルデヒドやケトンを生じないため、フェーリング反応は陰性。
問題4(追加・計算問題)
メタノールを酸化してホルムアルデヒドを得る反応で、ホルムアルデヒド0.10 molを得るために必要なメタノールは何 g か。
解答
CH3OH → HCHO
モル比:1 : 1
必要なメタノール=0.10 mol
メタノールの分子量=32 g/mol
よって質量=0.10 × 32 = 3.2 g
問題5
銀鏡反応でアルデヒドを含む試料を加熱したところ、試験管に銀が0.54 g析出した。このとき反応したホルムアルデヒドの物質量を求めよ。(Ag=108)
解答
反応式より、アルデヒド1 molあたりAg 2 mol析出。
Ag 0.54 g → 0.54 ÷ 108 = 0.005 mol
アルデヒドの物質量=0.005 ÷ 2 = 0.0025 mol
まとめ
今回の実験では、第1級アルコールを酸化してアルデヒドが生成すること、さらにアルデヒドが還元性を示すため銀鏡反応やフェーリング反応で検出できることを学びました。
入試頻出のポイントは「第1級アルコール=アルデヒド=還元性あり」「第2級アルコール=ケトン=還元性なし」「第3級アルコール=酸化されにくい」という整理です。安全な操作手順も含めて、理解を定着させましょう。
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