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【授業実況】2025/07/28 有機化学演習(構造推定と元素分析)
有機化学演習1日目。元素分析の基本から構造推定問題(C5H12Oなど)までを扱い、異性体の考え方や銀鏡反応・ヨードホルム反応の活用法を解説しました。
導入
本日の有機化学演習では、元素分析を出発点として、構造推定問題を系統的に解く手順を確認しました。
講師は「まず炭素の並びを考える」「枝分かれと官能基の位置を分類する」という基本を強調しました。さらにC5H12Oの構造異性体を例に、反応実験(銀鏡反応・ヨードホルム反応・脱水反応)から構造を特定する方法を解説しました。
構造推定の基本テクニック
構造式を考える際には、まず炭素骨格だけを並べます。
炭素が3つなら直鎖構造しかなく、4つ以上で枝分かれが生じます。
見え方は異なっても回転すれば同じ構造になるため、同一の異性体として扱います。
枝分かれの有無を基準に整理することで、数え漏れを防げます。
💡ヒント
初心者がつまずきやすいのは「同じ構造を別のものと数えてしまう」点です。必ず回転や反転を考えて、重複を避けましょう。
官能基と異性体の分類
酸素原子が炭素どうしの間に入ればエーテル、炭素と水素の間に入ればアルコールとなります。
同じ分子式でも官能基の位置や結合様式で性質は大きく変化します。
例:C4H8Oの場合
- エーテル型
- アルコール型
- 二重結合を含む型
このように場合分けを行うと異性体の種類が一気に増えるため、体系的に整理する必要があります。
元素分析の原理と演習
有機化合物を酸素で燃焼させ、生成したCO2とH2Oの質量増加からCとHの量を決定します。
CO2はソーダ石灰、H2Oは塩化カルシウム管に吸収させます。
例:
質量データから求めた原子数比が C:H:O = 1:2:1 であれば、組成式は CH2O となります。
学生は配布問題を解き、4問中の正答数を相互に確認しました。講師は「共通テストでも必須の力」と強調しました。
構造推定問題(C5H12O)の解法
次にC5H12Oの異性体を体系的に整理しました。
- 第1級アルコール
- 第2級アルコール
- 第3級アルコール
合計で8種類が可能です。
問題文の「Dは変化しなかった」という情報から、酸化されにくい第3級アルコールであると特定しました。
さらに、銀鏡反応で陽性を示す構造、ヨードホルム反応で陽性を示す構造を場合分けし、最終的に「銀鏡反応陽性かつ不斉炭素原子をもつのはGのみ」と結論づけました。
💡ヒント
- 銀鏡反応 → アルデヒド基(−CHO)の確認に有効
- ヨードホルム反応 → COCH3 または CHOH−CH3 をもつ分子が陽性
今日の学び×思考のヒント
- 異性体の数え方は「炭素骨格 → 枝分かれ → 官能基位置」の順で整理する。
- 反応実験(銀鏡反応・ヨードホルム反応)は構造推定の決定打となる。
- 酸化・付加・脱水などの経験則(ザイツェフ則など)を必ず整理しておく。
演習問題
📘 演習1(類題:元素分析)
試料を完全燃焼させ、CO2 8.80 mg、H2O 4.50 mgが得られた。試料の質量は3.70 mgである。分子式を求めよ。
解答
Cの質量 = 8.80 × 12/44 = 2.40 mg
Hの質量 = 4.50 × 2/18 = 0.50 mg
Oの質量 = 3.70 − (2.40 + 0.50) = 0.80 mg
原子数比 C:H:O = 2.40/12 : 0.50/1 : 0.80/16 = 0.20 : 0.50 : 0.05 ≈ 4 : 10 : 1
分子式 = C4H10O
📘 演習2(類題:構造推定)
分子式 C4H8 の構造異性体をすべて挙げ、不飽和結合の有無を分類せよ。
解答
可能な異性体は5種類。
- 直鎖アルケン(1-ブテン、2-ブテン(シス・トランス))
- 分枝アルケン(2-メチルプロペン)
- シクロアルカン(シクロブタン、メチルシクロプロパン)
付加反応を示すのはアルケン型のみである。
まとめ
本日の演習では、元素分析の基礎から構造推定の応用までを扱いました。
講師は「まず炭素骨格を考える」という基本姿勢を強調し、官能基や反応実験の情報を組み合わせる重要性を解説しました。
C5H12Oの問題を通じて、異性体整理・反応の活用・不斉炭素の確認といった系統的手順が示されました。
次回以降も演習を通じて、未知の分子構造を自力で推定できる力を鍛えていきます。
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