この記事を読んでわかること
- セルロースの構造と化学的性質
- セルロースが還元性を示さない理由
- ニトロセルロースの生成反応を理解
- 再生繊維レーヨンの製造方法を説明できる
- 銅アンモニア法とビスコース法の違いを把握
要約
要約:セルロースは熱水に溶けず、レーヨンに再生される。
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📘 導入
「セルロースって紙や綿の主成分だけど、入試ではどこを押さえればいいの?」そんな疑問に答えるのが今回のテーマです。セルロースの性質からニトロセルロースの火薬、さらに再生繊維レーヨンの製造法までを整理し、試験で迷わない知識にまとめます。
📘 セルロースの基本と性質
セルロースは植物細胞壁の主成分であり、綿花や木材に多く含まれる天然高分子です。分子式は (C6H10O5)n で、多数のβ-グルコースが β-1,4-グリコシド結合で連なった直鎖状構造をもっています。
- 熱水や有機溶媒に不溶
- ヨウ素デンプン反応を示さない
- 還元性を示さない
これは、セルロースがアルデヒド基を持たないためです。デンプンとの違いは、入試でも狙われるポイントです。
💡思考のヒント
💡ヒント:
「セルロースは直鎖構造・水素結合で強固」という視点で、溶解性や性質を関連づけると整理しやすいです。
📘 ニトロセルロースの生成
セルロースを濃硝酸と濃硫酸の混酸に処理すると、ニトロセルロース(硝化綿)が得られます。これは火薬やセルロイドとして利用される重要な誘導体です。
反応のイメージ:セルロースの –OH 基に –NO2 が導入される。
この置換によって発火性を持つ物質に変化します。
📘 再生繊維レーヨン
セルロースをいったん溶かし、繊維として再生したものを再生繊維といい、その代表例がレーヨンです。
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📘 レーヨンの製造法
- 銅アンモニア法(キュプラ)
溶媒:シュバイツァー試薬 [Cu(NH3)4]2+(深青色)
セルロースを溶かし、希硫酸中に押し出して再生。 - ビスコース法
セルロースを二硫化炭素と反応させてセルロースキサントゲン酸エステルに変え、水酸化ナトリウム水溶液に溶解。
紡糸後に酸処理してセルロースを再生。
レーヨンは光沢が美しく、吸湿性が高いため、衣料用繊維として利用されます。
📘 💡今日の学び×思考のヒント
- セルロースとデンプンの違いは「結合の種類」と「反応性」
- ニトロセルロースは「置換基導入」で爆発性物質に変わる
- レーヨンは「天然由来だが人工的に再生された繊維」
📘 演習問題
問題1
セルロースの構造単位を答えよ。また還元性を示さない理由を説明せよ。
解答
単位はβ-グルコース。β-1,4-結合でつながるため、末端以外にアルデヒド基をもたず、還元性を示さない。
問題2
ニトロセルロースの生成反応を化学式で表せ。
解答
セルロース –OH + HONO2 → –ONO2 + H2O
(触媒:濃H2SO4)
問題3
銅アンモニアレーヨンとビスコースレーヨンの違いを説明せよ。
解答
銅アンモニアレーヨン:シュバイツァー試薬に溶かして再生。
ビスコースレーヨン:セルロースキサントゲン酸エステルを経由して再生。
📘 まとめ
セルロースは天然高分子の代表で、紙・木綿の主成分です。その性質(不溶・非還元性)は入試頻出ポイント。さらに硝化によりニトロセルロースが得られ、再生処理でレーヨンが作られます。銅アンモニア法とビスコース法の違いを整理しておくことが重要です。
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