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【授業実況】2025/08/30 硫酸の接触法と工業的製法の計算【高校化学・入試頻出】

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目次
  • 硫酸製造の接触法の反応過程
  • 触媒酸化バナジウムの役割を理解
  • 物質量計算の係数比を使える
  • 濃硫酸の安全な希釈方法を説明できる
  • 工業的製法の入試出題形式を把握

要約:硫酸の接触法は、S→SO2→SO3→H2SO4の流れを押さえることがポイント。酸化バナジウム(V2O5)が触媒として働く。工業的製法の計算は「係数比で順に換算」するのが基本で、例題を通じて入試問題に対応できるようになる。さらに、濃硫酸の取り扱いでは「水に硫酸を加える」安全ルールが必須である。


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※本ナレーションはAIによるプロ声優の音声を使用しています。
一部の化学用語に誤読が含まれることがありますが、ご了承ください。
今後、全編を最適化した高品質ナレーションをAudible版として公開予定です。

📘 導入:工業的製法は入試の定番テーマ

「接触法って、反応式を丸暗記しないといけないの?」と不安になる人が多いです。しかし、SからH2SO4までの流れさえ押さえれば、式はその場で書けるようになります。この記事では、接触法の仕組みと計算方法を例題つきで整理します。

📘 硫酸の接触法の流れ

工業的製法の中でも代表的なのが硫酸の接触法です。反応の骨子は次の通りです。

S → SO2 → SO3 → H2SO4

触媒には酸化バナジウム(V2O5)が使われます。装置図を覚えるより、この流れを理解することが重要です。

💡今日の学び:ゴール(H2SO4)とスタート(S)を結ぶ「中間物質」をセットで覚えると暗記が楽になります。

📘 工業的製法の計算パターン

工業的製法の計算は次の2パターンで出題されます。

  • 原料から得られる製品の質量を求める
  • 製品を得るのに必要な原料の量を求める

📘 例題:16kgの硫黄から得られる硫酸

流れは次の通りです。

  • 硫黄の物質量を求める
  • 係数比をもとにSO2 → SO3 → H2SO4へ換算
  • 98%硫酸としての質量を算出

この手順で計算すると、16kgの硫黄からおよそ50kgの98%硫酸が得られます。


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高校化学が苦手でも「原子からモル計算」まで基礎を整理したい人へ

📘 接触法の反応と計算の流れ

図1:接触法の流れと計算手順 接触法の反応プロセス S → SO₂ → SO₃ → H₂SO₄ 触媒:V₂O₅(酸化バナジウム) 例題:16kgのSから何kgの98%H₂SO₄が得られる? ① Sの物質量 → ② SO₂, SO₃の係数比換算 → ③ H₂SO₄の質量算出 計算結果:約50kgの98%H₂SO₄
図1:接触法の流れと計算手順(工業的製法の計算の典型例)

📘 濃硫酸の安全な取り扱い

希釈するときは必ず「水に硫酸を少しずつ加える」ことが鉄則です。理由は以下の通りです。

図2:濃硫酸の安全な希釈方法 濃硫酸の希釈は必ず「水に酸」 ✔ 大量の水をビーカーに用意 ✔ 少量ずつ濃硫酸を加える ✔ 発生熱を水全体で分散し安全 × 硫酸に水を加えるのは危険!
図2:濃硫酸の安全な希釈方法(水に酸を加える手順の強調)
  • 水が少量だと、発生した熱が集中して危険
  • 水蒸気が発生し飛び散る危険性がある
  • 大量の水に硫酸を加えると熱が分散して安全

📘 工業的製法計算のモル換算の流れ

図3:接触法の計算におけるモル換算の流れ モル換算の段階的流れ ① 硫黄 S の物質量 ② SO₂ → SO₃ 係数比 ③ H₂SO₄ の物質量 ✔ 例:16kg S → 約50kgの98%H₂SO₄
図3:接触法の計算におけるモル換算の流れ(段階的な計算手順)

💡ヒント

💡ヒント:
逆に「硫酸に水を加える」と書いてしまう誤答が多いので注意。

📘 演習問題

問題1
硫黄32.0gから得られる98%硫酸の質量を求めよ。

問題2
目標:硫酸98.0gを製造するには硫黄が何g必要か。

問題3(応用)
SO2 44.8L(標準状態)から得られるH2SO4の質量を求めよ。

(いずれも係数比・モル計算を用い、途中式と検算を記載すること。)

📘 解答1:硫黄32.0 gから得られる98%硫酸の質量

1. Sの物質量(mol) = 32.0 g ÷ 32 g/mol = 1.00 mol
2. H2SO4の物質量(mol) = 1.00 mol
3. H2SO4の質量(g) = 1.00 mol × 98 g/mol = 98.0 g
4. 溶液の質量 = 98.0 ÷ 0.98 = 100 g

▶ 答え:100 g の 98%硫酸

📘 解答2:98%硫酸 98.0 g を作るのに必要な硫黄の質量

1. 質量(pure) = 98.0 × 0.98 = 96.04 g
2. 物質量(H2SO4) = 96.04 ÷ 98 = 0.980 mol
3. 物質量(S) = 0.980 mol
4. 質量(S) = 0.980 × 32 = 31.36 g

▶ 答え:31.4 g の硫黄

📘 解答3(応用):SO2 44.8 Lから得られるH2SO4

1. 物質量(SO2) = 44.8 ÷ 22.4 = 2.00 mol
2. 物質量(H2SO4) = 2.00 mol
3. 質量 = 2.00 × 98 = 196 g
4. 溶液質量 = 196 ÷ 0.98 = 200 g

▶ 答え:純H2SO4 196 g(= 98%硫酸 200 g)

📘 まとめ

硫酸の接触法は「流れと触媒」を理解すれば暗記に頼らずに説明できます。計算問題は「係数比で順番に換算する」ことが鉄則です。さらに、実験操作としての「水に硫酸を加える」安全ルールは入試でも問われやすいため、必ず整理しておきましょう。


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📘 理論化学を「しくみ」で学びたい方へ

※この記事のテーマ(硫酸の接触法と工業的製法の計算)は理論化学の土台の上に成り立っています。
 理論化学の土台は、電子書籍『一問一答 理論化学1|原子の構造、化学結合、物質量と化学反応式』で学べます。化学のしくみをしっかり理解したい方は、ぜひ本書をご覧ください。

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