この記事を読んでわかること
- アンモニアソーダ法の全体の流れを理解
- 炭酸ナトリウム製造の反応式を説明できる
- 入試頻出の計算問題に自力で取り組める
- 近似や時間配分の考え方を身につけられる
- 誤りやすい解答の癖を回避できる
要約
要約:アンモニアソーダ法は「NH₃を用いた炭酸ナトリウム製法」です。
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📘 導入:よくある誤解を整理
「反応式が多すぎて覚えられない…」
「結局どの物質がスタートで、どれがゴールなの?」
そんな疑問は本記事で解決します。入試頻出のアンモニアソーダ法を、原理から順に追えば必ず整理できます。
📘 アンモニアソーダ法の概要
アンモニアソーダ法(ソルベー法)は、安価で豊富な原料(CaCO₃とNaCl)からNa₂CO₃を工業的に得る方法です。
- スタート:石灰石(CaCO₃)、食塩(NaCl)
- ゴール:炭酸ナトリウム(Na₂CO₃)
📘 反応の全体像と部分反応
📘 入試演習:計算問題に挑戦
例題(共通テスト改題)
NaCl 58.5 kgをすべて反応させてNa₂CO₃とCaCl₂を生成するとき、最小限必要なCaCO₃の質量は何kgか。
📘 解法のステップ
- 反応の総式を立てる:
2NaCl + CaCO₃ → Na₂CO₃ + CaCl₂ - モル計算:
NaCl:58.5 kg ÷ 58.5 g/mol = 1000 mol
反応比:NaCl 2 mol : CaCO₃ 1 mol → CaCO₃必要量 = 500 mol - 質量換算:
500 mol × 100 g/mol = 50.0 kg
答え:50.0 kg
💡今日の学び×思考のヒント
💡ヒント:
* 答えを写すだけでなく必ず自分で再現する
* スタート物質とゴール物質を意識すると整理しやすい
* 時間配分:入試では15分かける問題を10分以内で解く練習が必要
📘 まとめ
アンモニアソーダ法は、
- 「安価な原料から炭酸ナトリウムを得る工業的製法」
- 「部分反応を積み重ねて全体像を理解する」
ことが重要です。計算問題では、反応式のモル比を正しく設定することで、素早く確実に解答にたどり着けます。
📘 演習問題②:有機化学とつなげる(応用)
問題
アンモニアソーダ法で得られるNa₂CO₃水溶液を用いて、酢酸(CH₃COOH)を中和した。酢酸100 mL(濃度1.0 mol/L)を完全に中和するのに必要なNa₂CO₃水溶液の物質量を求めよ。
解法
反応式:Na₂CO₃ + 2CH₃COOH → 2CH₃COONa + H₂O + CO₂
- 酢酸:0.100 L × 1.0 mol/L = 0.100 mol
- 反応比:CH₃COOH 2 mol : Na₂CO₃ 1 mol → 必要なNa₂CO₃ = 0.050 mol
答え:0.050 mol
💡ポイント:有機化学の酸(カルボン酸)もNa₂CO₃で中和できる。炭酸ガス発生を伴うため、滴定実験での指示薬選択が重要。
📘 演習問題③:よくある誤答パターン
問題
アンモニアソーダ法において、次の誤答を訂正せよ。
「CaCO₃ + 2NaCl → Na₂CO₃ + CaCl₂」
解説
この式は一見正しそうだが実際には直接進行しない。CaCO₃は水に難溶であり、NaClとの直接反応は起きにくい。
正しい全体式は:2NaCl + CaCO₃ → Na₂CO₃ + CaCl₂
ただしこれは石灰炉や蒸留塔を経た総合結果である。
💡誤答の背景:原料と生成物を直結して短絡的に式を書くことが原因。部分反応を経ることを意識して修正する必要がある。
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