この記事を読んでわかること
- 再生繊維レーヨンの製法と特徴
- ビスコース法の原理を説明できる
- セルロースアセテートの構造と用途
- 天然繊維と化学繊維の分類整理
- 入試頻出の計算問題に対応できる
要約
要約:レーヨンは再生繊維、アセテートは半合成繊維として分類されます。
「レーヨンとアセテートの違いがよくわからない…」そんな疑問を抱く受験生は少なくありません。本記事では、ビスコース法によるレーヨン製造の仕組みから、セルロースアセテートの化学構造、さらに入試で狙われる繊維の分類まで整理して解説します。
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📘 ビスコース法とレーヨンの製造
セルロースを水酸化ナトリウム水溶液に溶かすと、粘性のあるコロイド溶液「ビスコース」になります。この語源は「viscous(粘性のある)」に由来します。
このビスコースを細いノズルから希硫酸中へ押し出すと、セルロースが再生して長い繊維になります。これが再生繊維レーヨンです。
💡ヒント
💡ヒント:
・「再生」とはセルロースを一度溶解させ、再び繊維状に取り出すことを意味します。
・レーヨンは光沢があり吸湿性も高く、衣料品に利用されます。
📘 アセテート繊維
セルロースに無水酢酸を作用させると、セルロースの水酸基がアセチル化され、トリアセチルセルロースになります。さらに一部を加水分解するとジアセチルセルロースとなり、アセトンに溶けるようになります。
この溶液をノズルから押し出して乾燥させると、半合成繊維アセテートが得られます。
- ジアセチルセルロースは水酸基を一つ残すため「適度な吸湿性」を示します。
- シャツ、ネクタイ、スカーフなどに利用されます。
📘 天然繊維と化学繊維の分類
高校化学の整理ポイントは以下です。
- 天然繊維:植物由来(綿、麻、セルロース)、動物由来(羊毛、絹、タンパク質)。
- 化学繊維:人為的に加工・合成された繊維。
- 再生繊維:レーヨン
- 半合成繊維:アセテート
- 合成繊維:ナイロン(ポリアミド)、ポリエステル(PET)、アクリル、ビニロン
📘 出題ポイント
入試では「レーヨン=再生繊維」「アセテート=半合成繊維」と整理できているかが問われます。
📘 演習問題
例題1
問題:セルロースの構造式を基に、三酢酸セルロースの生成反応を説明せよ。
解答:
セルロースは多数のグルコース単位が β-1,4-グリコシド結合でつながった高分子であり、各単位には複数のヒドロキシ基 –OH をもつ。
これに無水酢酸 (CH3CO)2O を作用させると、ヒドロキシ基がアセチル基 –OCOCH3 に置換される。セルロース分子内のすべてのヒドロキシ基が置換されたものを三酢酸セルロースという。
解説:
反応はエステル化反応である。
さらに部分加水分解を行うと二酢酸セルロースとなり、これがアセトンに可溶となって繊維化できる。
この生成物を繊維に加工したものが半合成繊維アセテートである。
例題2
問題:平均分子量 1.29×104 のポリ酢酸ビニルの重合度を求めよ。
解答:
単量体(酢酸ビニル:CH2=CH–OCOCH3)の分子量は 86。
重合度を n とすると、
1.29×104 ≈ 86 × n
よって
n ≈ (1.29×104) ÷ 86 = 1.5×102
答:重合度 n = 1.5×102(=150程度)
解説:
重合度とは「繰り返し単位の数」を表す。
分子量は多くの分子の平均値で表されるため、必ず「平均分子量」として与えられる。
有効数字2桁で答えるのが適切。
例題3
問題:繊維の分類(天然/再生/半合成/合成)を整理し、それぞれ代表例を挙げよ。
解答:
- 天然繊維
植物由来:綿(セルロース)、麻
動物由来:羊毛・絹(タンパク質) - 再生繊維
レーヨン(セルロースを溶解 → 再生した繊維) - 半合成繊維
アセテート(セルロースのアセチル化物) - 合成繊維
ナイロン(ポリアミド)
ポリエステル(PET)
アクリル(ポリアクリロニトリル)
ビニロン(ポリビニルアルコールのアセタール化)
解説:
ポイントは原料と製法の違い。
再生繊維と半合成繊維はどちらもセルロース由来だが、再生は「溶かして再度繊維化」、半合成は「化学的に部分改質して繊維化」。
入試では「レーヨン=再生」「アセテート=半合成」を区別できるかが頻出。
📘 まとめ
- レーヨンはビスコース法によって製造される再生繊維。
- セルロースをアセチル化するとセルロースアセテートができ、半合成繊維アセテートになる。
- 天然繊維と化学繊維の分類は入試頻出。特に「レーヨン=再生」「アセテート=半合成」の対比を意識。
- 合成繊維では重合度計算がよく出題される。
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