この記事を読んでわかること
- 金属イオン系統分離の基本手順
- 沈殿生成の判断基準を説明できる
- ヘンリーの法則の考え方を理解
- 気体溶解度の計算手順を習得
- 典型的な誤答を回避できる
要約
要約:系統分離は沈殿の生成規則、溶解度は圧力と直結。
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導入
「どのイオンが沈殿するのか?」「どのくらい溶けるのか?」――こうした疑問は入試頻出のテーマです。本記事では金属イオンの系統分離と、気体の溶解度を支配するヘンリーの法則を整理します。現象を化学式と対応づけて考えることで、入試問題での判断力が磨かれます。
金属イオンの系統分離(沈殿生成の基本)
📘 希塩酸を加えたときの沈殿
・Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl(白色沈殿)
・Pb²⁺ + 2Cl⁻ → PbCl₂(白色沈殿、熱水に可溶)
この段階では Ag⁺ と Pb²⁺ を分離できます。PbCl₂ が熱水に溶けることを利用して確認します。
💡ヒント
💡ヒント:
化学式を書かずに「経験」で解くと誤答につながります。必ず沈殿式を明記しましょう。
📘 酸性条件で H₂S を通じる
・Cu²⁺ + S²⁻ → CuS(黒色沈殿)
・Fe³⁺は H₂S で還元 → Fe²⁺ になるため、再び酸化剤(例:HNO₂)を用いて戻す必要があります。
📘 塩基性条件で H₂S を通じる
Zn²⁺ や Ni²⁺ が硫化物沈殿を生じます。一方、Na⁺ や Ca²⁺ は沈殿せず、残留します。Ca²⁺ は CO₃²⁻ で CaCO₃ 沈殿を形成します。Na⁺ は炎色反応(黄色)で確認します。
液体溶液とヘンリーの法則
気体の溶解度は圧力に比例します(ヘンリーの法則)。
例:炭酸飲料は栓を閉じて高圧下にすることで二酸化炭素が溶け込みます。開栓すると圧力が下がり、泡となって放出されます。
💡ヒント
💡ヒント:
問題文の「圧力が 2 倍になると溶解度はどうなるか?」を読み落とさないこと。比例関係に従うので、2 倍になります。
演習問題
📘 問題1(沈殿分離)
希塩酸を含む溶液に Ag⁺, Pb²⁺, Cu²⁺ が混合している。各段階で生成する沈殿と残存するイオンを示せ。
【解答の流れ】
① HCl 添加 → AgCl, PbCl₂ 沈殿
② 熱水処理 → PbCl₂ 溶解、AgCl 残る
③ H₂S 通気(酸性) → CuS 沈殿
📘 問題2(ヘンリーの法則)
25℃で O₂ の溶解度が 0.0020 mol/L(1気圧)であるとき、2気圧 ではどうなるか。
【解答】
比例関係より 0.0020 × 2 = 0.0040 mol/L
📘 問題3(計算練習)
0.10 mol/L NaOH 25.0 mL で中和される酢酸の物質量を求めよ。
【解答】
n = 0.10 × 0.0250 = 0.00250 mol
まとめ
金属イオンの系統分離は「どの条件でどの沈殿が出るか」を段階的に整理することが重要です。液体溶液の範囲では、ヘンリーの法則による「溶解度と圧力の比例関係」を押さえましょう。式と現象を往復できると、入試での応用力が大きく向上します。
📘 あわせて育てられる5つの力
- 式と現実をつなげる力:★★★★☆(例:沈殿式と観察現象の対応)
- 理由を説明できる力:★★★★☆(例:イオンの安定性や電子移動の理解)
- 数字で考える力:★★★☆☆
- 問題文からヒントを読み取る力:★★★☆☆
- 科学の背景を知る力:★★☆☆☆
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