MENU

ヨウ素で差がつく――電気分解・電池・酸化還元を「読み取り→電子収支→半反応式」で通す(授業実況)

  • URLをコピーしました!
図:水の電気分解における酸素の発生(陽極側)
出典:Wikimedia Commons “Elektrolyse4.jpg”
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Elektrolyse4.jpg
(CC BY-SA ライセンス)

はじめに

電池・電気分解・酸化還元の演習では、解けそうに見えるのに点が伸びない原因がはっきり分かれます。
知識がないというより、「どこを読み取るのか」「どの知識を先に引き出すのか」「式をどう置き換えるのか」が曖昧なまま進み、式設定が崩れて失点します。

この授業では、時間を区切って演習し、採点し、誤答が目立つ設問に解説を集中させる流れで進めましょう。
とくに、154番(ヨウ素を用いた定量)は正答率が低く、正答できると差がつく設問として扱い、ここを題材に「読み取り」の具体と、電子収支での式設定を確認していきましょう。


第1章 演習の進め方――時間を区切り、誤答の多い設問に解説を集中する

授業の目的は、電池・電気分解・酸化還元(とくにヨウ素反応)の演習進捗を確認し、共通テスト過去問を用いて理解を定着させることです。
進行は、時間を区切って演習→採点→弱点抽出→重点解説、という流れで押さえましょう。

両面プリントを約20〜27分で解く参加者が多く、スピードは全体として向上しています。
一方で、定性的理解(数値計算を伴わない現象説明)は概ね良好でも、「反応式が書けない」「どこで何が発生するかを取り違える」といった部分で点が落ちます。
ここが放置されると、残り期間の学習が“解けない原因の上塗り”になってしまいます。誤答の多い設問に優先的に解説を置いて、穴を塞ぎましょう。


第2章 崩れやすいポイント――生成物の誤認が式設定を壊す

電気分解では、電極材と電解液の組合せに対して、どこで何が発生するかを誤認すると、式設定が崩れます。
現象を「なんとなく」で処理すると、陰極・陽極の生成物が入れ替わり、そこから先の計算が成立しなくなります。

この回では、誤答が目立った設問として、154・46・49・147が挙げられます。
46・49は電気分解の発生物質と条件の取り違え、147は電池の半反応式記述が未習熟、154はヨウ素を用いた定量で反応把握が崩れる、という位置づけで整理しましょう。
時間切れによる未回答も一部ありました。


第3章 ヨウ素の問題――「読み取り」のハイライトは“色の変化”の意味を確定すること

ヨウ素を用いた定量の反応把握を問う設問は、共通テスト2023で出題され、個別試験でも頻出として扱われます。
この問題の中心は、計算以前に「操作と観察から何を読み取るべきか」を確定することです。ここを最初に固めましょう。

3-1 目的を先に確定する

この設問の目的は、硫化水素(H₂S)の量を求めることです。
目的が曖昧だと、途中の操作(加えたもの、起きた色変化)を、ただの手順として流してしまい、読み取りが起きません。まず目的を固定しましょう。

3-2 操作手順を“反応の意味”として並べ直す

操作は次の順に進みます。

  • H₂Sを水に溶解する
  • ヨウ素を含むヨウ化カリウム水溶液を添加する(KIはI₂を溶けやすくする役割)
  • でんぷん溶液を加え、青紫色の消失を確認する
    • ここでは「I₂がI⁻へ還元され尽くした指標」を読み取りましょう
  • 沈殿除去後に希硫酸を添加する
    • 青色が出現した場合は、「溶液中にI₂が残存していた」と読み取りましょう

この問題のハイライトは、「色の変化が何を意味しているか」を、その場で確定できるかどうかです。
青紫色が消えた時点で“反応が尽きた”のか、それとも“別の条件でまだ残っていたものが顕在化した”のか。ここを読み違えると、式が立ちません。色の意味を先に確定しましょう。


第4章 式の立て方――電子を受け取る側/放出する側を分けて組み合わせる

酸化還元の式は、電子の授受で統一して立てましょう。
ここでは、「電子を受け取る側」と「電子を放出する側」で別々に式を立て、最後に組み合わせましょう。これは半反応式の考え方と同様に使えます。

4-1 反応の役割を確定する(どちらが電子を受け取るか)

ヨウ素の入試問題では、ヨウ素は電子を受け取る(還元される)側、硫化水素は電子を放出する(酸化される)側として扱いましょう。
この役割が確定したら、次に「電子数がいくつ動いたか」を係数として扱いましょう。

4-2 電子収支を核に置く

電子収支で式を立てるときは、核を次に固定しましょう。

  • 受け取った電子モル = 放出した電子モル

未知量(例:H₂Sのモル)を変数として、電子数係数で連立し、総電子収支で解きましょう。
この形が固定できると、反応が複数絡む場合でも、電子収支で統一的に処理できます。


第5章 電池・電気分解――半反応式が書けるかどうかで伸び方が変わる

この回では、電池の反応式がまだ書けない場合、残り期間でそこを充実させましょう、という助言が入ります。
定性的理解がある程度できていても、半反応式が書けないと、計算問題・記述問題の両方で失点が固定されます。ここを放置しないようにしましょう。

次回までのフォーカスとして、半反応式の記述練習と電子収支の定式化(とくに電池・電気分解)を進めましょう。
例として、Zn → Zn²⁺ + 2e⁻、Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu のような形を、暗記ではなく「書ける状態」にしておきましょう。


第6章 授業内の手順(OS)――読み取り→引き出し→置き換え→数で考える

授業のまとめとして強調される手順は、次の四段階です。起動順序として固定していきましょう。

OS-1 読み取る

問題文から読み取るべき情報を確定しましょう。
154番なら、操作と観察(青紫色の消失、希硫酸後の青色出現)が何を意味するのかを、その場で確定しましょう。

OS-2 引き出す

酸化還元のルール、電池・電気分解の基本整理、ヨウ素の扱いなど、「解けるために必要な知識」を手前へ出しましょう。
必要な知識(引き出し)が多いほど、起動が遅いと得点に結びつきません。引き出しの起動を速くしましょう。

OS-3 置き換える

電子の授受へ置き換え、半反応式として書ける形へ落としましょう。
電池・電気分解は半反応式の記述ができることが前提です。ここを前提として整えましょう。

OS-4 数で考える

電子収支(受け取った電子モル=放出した電子モル)を核に、未知量を変数として処理しましょう。
式が一本化できたあとに計算へ進みましょう。

最もいいねした

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事、どう感じましたか? 感想もらえると嬉しいです(^^)

コメントする

CAPTCHA


目次