— 用語暗記から「反応→推論→数え上げ」まで一本でつなぐ
授業日 2025年9月27日
酵素・アミノ酸・ペプチドは、用語だけ覚えても入試問題では止まりやすい分野です。得点を安定させる鍵は、用語の即答力と、ペプチド問題で使う**情報整理の固定手順(反応→推論→数え上げ)**を持つことです。
目次
1. 酵素の基本概念と用語の確認
まずは「ノータイムで答える」レベルにしておきたい用語です。ここが遅いと、記述も計算も崩れます。

必須用語3点セット
- 基質特異性:酵素は特定の物質(基質)にだけ働きやすい性質
- 立体構造が合うかどうかで決まる(鍵と鍵穴の関係)
- 最適pH(至適pH):酵素が最大活性を示すpH
- 失活:酵素の働きが弱まる/失われること(多くはタンパク質の構造変化が原因)
2. 酵素活性に影響する要因(温度・pH)
入試でよく問われるのは、「なぜそうなるのか」を短く説明できるかです。
温度:高温で活性が低下する理由
ポイントはこの3語をつなげることです。
- 酵素はタンパク質
- 熱で立体構造がくずれる(熱変性)
- 活性部位が変形して働けなくなる(失活)
30字説明の型(例)
酵素はタンパク質であり、高温で熱変性して失活する。
pH:代表例で整理する
- ペプシン:酸性側で働きやすい(胃の酸性環境)
- トリプシン:塩基性側で働きやすい(小腸の塩基性環境)
重要なのは場所の暗記ではなく、pHで立体構造や電荷状態が変わり、活性が上下するという因果です。
3. 酵素と無機触媒の違い(記述対策)
記述問題は「知っていることを書き散らす」と点が落ちます。キーワードを順番に並べると、短文でも強くなります。
押さえるべきキーワード
- タンパク質(有機高分子)である
- 基質特異性が高い
- 温度・pHで変性しやすい(失活しやすい)
- 酸・塩基・重金属でも変性しやすい
120字(または短め)記述の型
- 何者か:酵素はタンパク質
- 強み:基質特異性(選択性が高い)
- 弱み:温度・pH・薬品で変性→失活
完成例(短め)
酵素はタンパク質からなる触媒で、基質特異性が高い。一方、温度やpH、酸・塩基・重金属などで立体構造が変性しやすく、失活しやすい。
4. アミノ酸・ペプチド入試問題の導入
入試型のペプチド問題は、知識量よりも「情報の抜き方」で差がつきます。典型は次の流れです。
- 反応(呈色・沈殿など)の結果が複数与えられる
- そこから 含まれるアミノ酸の種類 を絞る
- さらに 並び方(構造異性体) と 鏡像異性体(立体異性体) を数える
5. 解く手順(問題解決プロセス)— 5分に寄せる固定ルート
このタイプの問題は、最初は時間がかかって当然です。目標は「同型なら短時間で処理できる」状態です。
図解:反応→推論→数え上げ(固定フロー)
【Step1】反応名を判定する
↓
【Step2】その反応が示す情報を1行で言い換える
↓
【Step3】アミノ酸の候補を確定(表にチェック)
↓
【Step4】並び方(構造異性体)を数える
↓
【Step5】不斉炭素の有無で「×2」を掛ける(鏡像異性体)
5分化のコツ:説明できるまで落とす
- 解けたかどうかより、「どの反応から何を言えたか」を言語化できるかが重要です。
- つまずきポイントはだいたい次のどれかです。
- 反応名が出てこない
- 反応の意味(何が分かるか)が出てこない
- 並び方を“式”でやろうとして崩れる(少数なら全列挙が速い)
6. 反応結果から構造を決める(情報の読み替え)
ここでは「反応→推論」の典型を、入試で使える形に整理します。
図解:反応結果の読み替え辞書(代表例)
ビューレット反応 → ペプチド結合がある(ペプチド)
キサントプロテイン反応 → 芳香族アミノ酸を含む(例:Pheなど)
硫化鉛(PbS)生成 → 硫黄を含むアミノ酸(例:Cysなど)
等電点の情報 → 酸性/塩基性残基の存在を示唆
この「対応表」が頭に入ると、問題文を読んだ瞬間にチェックが進みます。
7. 立体異性体の計算と最終解答(24種類の作り方)
この型の問題は、構造異性体(並び方)→立体異性体(×2) の順で処理します。
Step1:構造異性体(並び方)を数える
少数なら、式にせず 全部書き出すのが速いです。
例:3種類(C, D, E)を並べる(N末端とC末端が区別される)
- CDE / CED / DCE / DEC / ECD / EDC
→ 6通り
Step2:不斉炭素で鏡像異性体を掛ける
- 不斉炭素原子がある残基が 2種類(DとE)
- それぞれ L/D の2通り
→ ×2 ×2
結果
- 構造異性体 6通り
- 鏡像異性体を考慮:6 × 2 × 2 = 24通り
8. より高難度問題への挑戦(次の練習指針)
残基数が増えると、同じ手順でも情報量が跳ね上がります。
高難度で崩れない優先順位
- 反応→推論の対応表を即答化(ここが遅いと全部が遅れる)
- 並び方は小規模は全列挙/大規模は場合分け
- 最後に 不斉炭素の数だけ「×2」を掛ける(途中で混ぜない)
目標設定(現実的)
- まずは同型問題を 10分→7分→5分 と段階的に短縮
- 復習は「全部やり直す」ではなく、詰まった箇所だけを短文化して更新すると効率が上がります
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