この記事を読んでわかること
- 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の違い
- 油と脂の分類基準を説明できる
- 硬化油と乾性油の特徴を整理できる
- 石けんの界面活性作用を理解できる
- 入試頻出の誤答ポイントを回避できる
導入(要約+冒頭)
要約:飽和脂肪酸は固体に、不飽和脂肪酸は液体になりやすい。
「油脂は油と脂にどう分かれるの?」と混乱する受験生は多いです。
本記事では、脂肪酸の構造と分類、油脂の硬化や乾性油の違い、さらに石けんの性質までを整理します。入試問題で迷わないための基礎を固めましょう。
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飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
飽和脂肪酸は分子内に二重結合を持たず、直鎖構造で規則的に並ぶため分子間力が強く、常温で固体(脂)になりやすいです。例:パルミチン酸 C15H31COOH、ステアリン酸 C17H35COOH。
一方、不飽和脂肪酸は二重結合を含むため分子の折れ曲がりが生じ、分子間の結合が弱くなります。その結果、常温で液体(油)になりやすいです。例:オレイン酸(=1)、リノール酸(=2)、リノレン酸(=3)。
💡ヒント:「バス降りれん」という語呂合わせで、パ(ルミチン酸)、ス(テアリン酸)、オ(レイン酸)、リ(ノール酸)、レ(ノレン酸)を覚えると便利です。
油と脂の分類基準
- 常温で固体 → 脂(飽和脂肪酸が多い)
- 常温で液体 → 油(不飽和脂肪酸が多い)
動物性脂肪にはパルミチン酸やステアリン酸が多く、植物性油にはオレイン酸やリノール酸が多い傾向があります。
油脂の硬化と乾性油
不飽和脂肪酸に水素を付加すると、二重結合が単結合に変わり、油は硬化して固体化します。これを硬化油(マーガリンなど)と呼びます。
さらに、不飽和度によって乾きやすさが異なります。
・乾性油:二重結合が多く、空気酸化で固まりやすい(例:亜麻仁油)
・半乾性油:中程度(例:大豆油)
・不乾性油:固まりにくい(例:オリーブ油)
石けんと界面活性作用
油脂を強塩基で加水分解すると石けんが得られます(鹸化反応)。
石けん分子は疎水性の炭化水素鎖と親水性のカルボキシラート基を持ち、界面で働いて油汚れを水中に分散させます。
演習問題
問題1
ステアリン酸(C17H35COOH)を含む油脂を水酸化ナトリウムで加水分解したときの反応式を書け。
解答
C17H35COO–C3H5 + 3NaOH → C17H35COONa + C3H5(OH)3
(脂肪酸ナトリウム=石けん、グリセリンを生成)
問題2
常温で液体の油が硬化して固体になる過程を説明せよ。
解答
不飽和脂肪酸の二重結合に水素が付加し、飽和脂肪酸に変化する。直鎖状で分子間力が強まり、固体化する。
まとめ
・飽和脂肪酸は常温で固体、不飽和脂肪酸は液体になりやすい。
・油脂の硬化は不飽和結合への水素付加で起こる。
・乾性油は空気酸化により塗料やニスに利用される。
・石けんは界面活性剤として、疎水基と親水基の両性を生かす。
大学入試では「脂肪酸の構造」「硬化の反応」「石けんの界面活性」の3点が頻出です。確実に理解しておきましょう。
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