MENU

熱化学の演習【授業実況】

  • URLをコピーしました!

熱化学は、用語・符号・グラフ補正のどれか1つが抜けた瞬間に崩れます。この記事では、入試頻出の論点を「再現できる形」に整理します。

  • 発熱・吸熱と、反応エンタルピー(ΔH)の符号
  • 中和熱が(条件がそろうと)ほぼ一定になる理由
  • 温度グラフの「見かけの最高温度」と「みなし最高温度」の違い
  • 熱量計算 Q=mcΔT の使い方
目次

1. 熱化学の基本概念と適切な語句

熱・光・エネルギー:扱う対象は「エネルギーの出入り」

熱化学では、反応や状態変化に伴うエネルギーの出入りを扱います。高校範囲では、厳密な区別をひとまず置き、エネルギーの出入りを表す量として「エンタルピー」を用いると整理が進みます。

発熱反応・吸熱反応(符号のルール)

反応で外部へエネルギーが出ていくと発熱、外部からエネルギーを受け取ると吸熱です。反応エンタルピー ΔH は次のルールで覚えます。

  • 発熱反応:エネルギーが外へ出る → ΔH < 0(負)
  • 吸熱反応:エネルギーが外から入る → ΔH > 0(正)

反応エンタルピー(ΔH)とは

反応の前後で、系(反応が起きる側)のエンタルピーがどれだけ変化したかを表す量です。入試では「発熱・吸熱の判定」「熱量計算」「ヘスの法則」などの基盤になります。

完全燃焼が頻出になる理由

炭化水素の燃焼は、反応が単純で、熱量が大きく、計算問題にしやすい典型題材です。完全燃焼では生成物が CO₂ と H₂O に固定されます。

例:メタンの完全燃焼
CH₄ + 2O₂ → CO₂ + 2H₂O

例:プロパンの完全燃焼
C₃H₈ + 5O₂ → 3CO₂ + 4H₂O


2. 中和反応と熱量の関係

強酸×強塩基では「実質反応」が同じになる

強酸・強塩基は水中でほぼ完全に電離します。すると、中和で本質的に起きている反応は次の1本にそろいます。

H⁺ + OH⁻ → H₂O

この「実質反応」が同じであるため、条件がそろうと中和で発生する熱量は(ほぼ)一定として扱えます。

中和熱が約 56 kJ/mol とみなせる条件

入試でよく使う近似は次のとおりです。

  • 強酸と強塩基(ともにほぼ完全電離)
  • 1価の酸(H⁺を1個出す)と 1価の塩基(OH⁻を1個出す)
  • 反応の本体が H⁺ と OH⁻ のみになる

このとき、H⁺ 1 mol と OH⁻ 1 mol が反応して水ができるときの熱量は、およそ次で近似されます。

中和熱(強酸×強塩基) ≈ 56 kJ/mol(発熱)

発熱なので、符号で書くなら次のイメージです。
ΔH ≈ −56 kJ/mol

「種類に関係ない」の意味を取り違えない

「酸や塩基の種類に関係ない」は、何でも一定という意味ではありません。上の条件(強酸×強塩基、実質反応が同一)により、反応の中心がそろうため一定に近づく、という意味です。弱酸・弱塩基が混じると、電離や副反応の影響で単純化できない場合があります。


3. 熱化学の問題解決と温度グラフの読み取り

温度グラフの落とし穴:測定中も熱は逃げる

温度変化の実験では、どれだけ工夫しても外界への熱の出入りをゼロにはできません。すると、グラフに現れる「最高温度(見かけ)」は、理想的に熱が逃げない場合の温度より低く出やすくなります。

「みなし最高温度」は外挿で求める

頻出の手順はこれです。

  1. 温度が上昇している部分(反応による昇温)を直線近似して伸ばす
  2. 温度が低下している部分(外界へ逃げる影響)を直線近似して伸ばす
  3. 2本の直線の交点を「みなし最高温度」とする

図で表すと次のイメージです(イメージ図)。

温度

│      ●(見かけの最高温度)
│     /\
│    /  \
│   /    \___ ← 冷却の直線を外挿
│  /
│ / ← 昇温の直線を外挿
│/
└────────────────→ 時間

交点 = みなし最高温度(熱が逃げないと仮定したときの推定)

この補正は、凝固点降下など「温度−時間グラフを読む」実験系でも同じ発想で問われます。


4. 熱量計算とまとめ

熱量計算の基本式:Q=mcΔT

溶液の温度上昇(または下降)から、出入りした熱量を求めるときの基本式は次です。

Q = mcΔT

  • Q:熱量(J)
  • m:質量(g)
  • c:比熱(J g⁻¹ K⁻¹)
  • ΔT:温度変化(K または ℃の差)

中和熱 → 温度上昇につなげる典型ルート

強酸×強塩基の中和熱を使う計算は、次の流れを固定すると安定します。

  1. 反応する H⁺ と OH⁻ の mol をそろえる
  2. 生成する水の mol(=反応した mol)を求める
  3. 熱量を Q = 56 kJ/mol ×(反応mol)で出す(発熱なら放出)
  4. 溶液の温度変化を Q=mcΔT で求める

実質反応は常にこれです。
H⁺ + OH⁻ → H₂O

最後に:熱化学の「崩れポイント」チェック

  • 発熱・吸熱の判定(ΔH の符号)が曖昧
  • 中和熱が一定になる条件(強酸×強塩基、実質反応の一致)を言えない
  • 温度グラフで「見かけの最高温度」をそのまま使ってしまう
  • Q=mcΔT の m(全体質量)と ΔT(補正後の温度差)が混ざる

ここを押さえるだけで、熱化学は「暗記科目」から「再現できる計算分野」に変わります。

最もいいねした

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事、どう感じましたか? 感想もらえると嬉しいです(^^)

コメントする

CAPTCHA


目次